「私の残った時間はどれくらいなの?」
そう問われて、戸惑う医療職の方も少なくないのではないでしょうか。
「残った時間が、気がかりなのですね」
と、その背景にある思いを汲み取る…といった緩和ケアコミュニケーションも重要ですが、こちらの記事では「緩和ケア領域における予後予測」についてお示しします。
一般に、医師の予後予測の見積もりは楽観的(実際より長く見積もりがち)ということが知られています。気持ちもわかります。自分が治療した患者さん、少しでも長く生きてほしいという思いを抱いてしまうものです。
正確な予後予測は困難だとしても、精度高く予後を見積もることによって、その人が過ごしたい過ごし方を実現させることに近づくのではないでしょうか。
以下に、緩和ケアの予後予測についての代表的な研究・計算式を2つお示しします。
その研究の背景をよく読んだ上で、実臨床にご活用ください。
こちらのSpread sheetで計算可能です。ツールの使用は自己責任でお願いします。
ファイル>コピーを作成からご自身のマイドライブに保存し活用ください。
PPI palliative prognosis index
Morita T, Tsunoda J, Inoue S, Chihara S. The Palliative Prognostic Index: a scoring system for survival prediction of terminally ill cancer patients. Support Care Cancer. 1999 May;7(3):128-33. doi: 10.1007/s005200050242. PMID: 10335930.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10335930/
森田先生らが開発した日本発の予後予測ツールです。このツールの利点は、ベッドサイドで簡便に評価可能ということです。毎日の評価はこのツールを使用しています。
カットオフ値を使用する方法と、生存曲線を使用する方法があります。
参考:聖隷三方原病院 症状緩和ガイド
http://www.seirei.or.jp/mikatahara/doc_kanwa/contents7/71.html
PiPS predictor models
Gwilliam B, Keeley V, Todd C, Gittins M, Roberts C, Kelly L, Barclay S, Stone PC. Development of prognosis in palliative care study (PiPS) predictor models to improve prognostication in advanced cancer: prospective cohort study. BMJ. 2011 Aug 25;343:d4920. doi: 10.1136/bmj.d4920. PMID: 21868477; PMCID: PMC3162041.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26586684/
英国での前向きコホート研究から開発されたツールです。採血検査結果が不要なPiPS-Aと必要なPiPS-Bがあります。データをwebサイトに入力すると、14日生存率、56日生存率が表示されます。予測される予後が日単位(14日以下)、週単位(15日から55日)、月単位(56日以上)、のように表示されます。
参考 University College London PiPS predictor models 計算サイト
https://www.ucl.ac.uk/psychiatry/research/marie-curie-palliative-care-research-department/research/pips-prognosticator
計算結果も反映されるため、採血を行っている場合はより精度の高い予後予測が可能だと考えられています。
問題は上記のUCLのウェブサイトだと、検査値の単位変換が必要だということです。(例えばBUNは0.357をかける、など面倒くさい…)
そこで、日本でよく使われる検査値・単位を用いた計算フォームをこちらに作成しました。
動作確認は行っておりますが、時々壊れることがあるので自己責任でご利用ください。
また検査値の単位については各施設でご利用のものと同じかどうかご確認をお願いします。
みなさまの診療のお役になれば幸いです!
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緩和ケア 第36巻臨時増刊号(2026年6月発売予定)にて、院長の大森が心不全患者の予後と対話について執筆しています。そこでは予後予測ツールの紹介、限界、活用を紹介しています。ぜひ手にとってみてくださいね。
青海社 Webサイト: https://www.seikaisha.blue/
この投稿は大森が前職(飯塚病院 連携医療・緩和ケア科)在籍に作成した投稿を参考に加筆・修正して投稿しています。

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