医療現場と聞くと、多くの人が医師を頂点としたピラミッド型の組織を思い浮かべるかもしれません。
しかし、私たち「こもれび在宅診療所」は、その常識から一歩踏み出し、まったく新しい組織のあり方を追求しています。それは、従来のトップダウン型組織から脱却し、スタッフ一人ひとりが主役となる「自主経営型(ティール)組織」です。

なぜ、私たちはトップダウンをやめるのか
在宅医療の現場は、病院とは大きく異なります。医師による医療的な判断はもちろん重要ですが、それだけでは十分ではありません。
患者さんの生活、価値観、ご家族の想いなど、様々な専門職や関係者(ステークホルダー)が連携し、対話を重ねていくことが不可欠です 。
医師一人が全ての判断を下すトップダウン型の組織では、その医師がボトルネックとなり、柔軟で迅速な対応が難しくなる可能性がありま。
また、一人の能力や判断に依存することは、組織としての持続可能性を考えたとき、大きなリスクを伴います。だからこそ私たちは階層型の組織からの脱却が必要だと考えているのです。
目指すのは「自主経営型(self-management)」のチーム
私たちが理想とするのは、特定のリーダーが指示を出すのではなく、チームのメンバー全員がルールや仕組みに基づいて自律的に考え、行動する「自己管理型組織(ティール組織)」です 。
具体的には、以下のような組織を目指しています。
- 「先生」や「お医者様」がいないクリニック:医師も看護師も診療アシスタントも、互いを尊重し合う対等なパートナーです。特定の職種が偉いという文化をなくし、医師ではなく看護師、NPや診療アシスタントなどが中心となって活躍できるチームを作ります 。
- 権限の分散:「〇〇先生にしか判断できない」という状況をなくし、人への依存から脱却します。DX(デジタルトランスフォーメーション)を徹底的に推進し、システムによって業務を効率化。誰か一人がいなくてもチームとして機能する仕組みを構築します 。
- 対話を最も大切な時間に:システム化によって生まれた時間は、何よりも大切な患者さんやご家族、そしてスタッフ同士の対話に使います 。これから生成AIやDXが推進される中で、オーラルプレゼンテーションや対話、クリティカル・シンキングといったコミュニケーションの力がより求められると考えています。
- 主体性とチームワークの尊重:スタッフ一人ひとりに大きな裁量権を与え、主体性を尊重します 。「出る杭は伸ばす」をモットーに、画一的な軍隊のような組織ではなく、多様な個性が輝くチームを目指します。
私たちの理念の一つである「共生;共にいきる医療」は、誰一人欠けても成立しません 。スタッフ一人ひとりが自らの専門性を最大限に発揮し、有機的に連携すること。それこそが、変化し続ける在宅医療の現場において、患者さん一人ひとりに最高のケアを届けるための最良の答えだと、私たちは信じています。

コメント